漢方で治す症例 TREATMENT GUIDE

医師のご紹介

有効な症例①

Sさんは三十代の女性、三歳の娘さんをお持ちの奥様。アレルギー体質で、ここ三か月、鼻水・目の周りの痒み・無気力・肩の痛みなどの症状から、子供の面倒を見るのも大変で、寝込んでしまう日々が続きました。

秋の初めに、お友達の紹介で春澤中医クリニックに訪れました。顔色は悪く、声も小さく、吐き気・めまいがあり、まだ秋なのに風邪が長引き、このままでは冬にはもっとツライだろうと思いました。漢方的には「肺や脾(胃腸)の気が虚弱」というイメージでした。

まず、風邪の治療と同時に、体力を高める薬を処方をしました。三回の治療で、元気が戻り、鼻水は以前より良くなりましたが、完全には治り切っていませんでした。肩と首の痛みもあったので、鍼灸治療として大椎穴(ツボの名前)に刺鍼をしたところ、鼻がすっと通りました。なかなか治らなかった鼻づまり・鼻水は嘘のように消えました。「時間が経てばまた出てくるかも」という心配がありましたが、それ以来すっかり治ってしまいました。顔色も良くなり、一段ときれいになり、少しずつ元気なお母さんに戻りました。

有効な症例②

Tさんは四十後半の男性、仕事のストレスも多いのでしょうか、いつも疲れている感じがします。この間風邪をひいて、咳が止まらず、声も出ず、話は30秒も続けられませんでした。しかし、週末には合唱団のコンサートに参加する予定でした。「何とか声の出る特効薬がないでしょうか?」というリクエストで、診療を受けました。

元々胃腸が弱い、熱と湿が籠っている体ですが、風邪が更に気血のめぐりを悪化させていました。漢方の薬を処方し、その二日目に咳が止まり、三日目には、声がすっかり出るようになりました。彼は「今までで一番良い声で歌を歌うことが出来ました」と大変喜んでいました。それからは、コンサート前にいつもクリニックに訪れるようになりました。

「声が出る特効薬が欲しい」と言われ、ただ風邪を治療するだけで、声を良くする薬などありません。「困ったな」と思いながらも、いろいろな薬を工夫して組み合わせて処方し、彼の疲れを取り、元気の回復に努めました。

今回の問診で、風邪薬の新たな処方研究の機会を得ることができました。

有効な症例③

ある日の夕方、おばあちゃんが12歳になる男の子を連れてきました。12歳なのに、身長は180㎝ぐらい、痩せて青白い顔でした。いつも全身が痒くて、一番有名な西洋医学の病院にも通いましたが、なかなか治りませんでした。

男の子が出した左手を見て、びっくりしました。手全体が紫色で、所々ひび割れがあり、出血していました。典型的なアトピー性皮膚炎です。「これは難しい」と心の中でつぶやきましたが、おばあちゃんの孫を見る目を見て、「何とか少しでも治してあげたい」と思いました。この子は、今まで自分の左手で相当悩んだのでしょう、左手を隠し、人に見せたくないようでした。

男の子の全身状態は乾燥し、口が渇き、唇も割れて、顔には白や赤の斑があり、霜焼のような状態でした。取りあえず一周間分の薬を処方しました、1週間後には、顔の白や赤の斑がなくなりました。約一か月治療し、足首の捻挫で鍼灸治療をしに来た時、不意に手を見たところ、とてもきれいになっているではありませんか。皮膚も右手と同じ肌色に戻り、割れたところも随分浅くなっていました。血の滲みもなくなっていました。

やはり子供ですから、難しいアトピー性皮膚炎でも、大人より効き目があったのだと思います。

有効な症例④

Sさんは、三十代前半の男性。3カ月前から、左肩が痛くなり始めました。しばらく様子を見ていましたが、一向に良くなる気配はありませんでした。そして、ついには左腕が肩の高さ(可動域約75度)までしか挙がらなくなってしまいました。中国の病院の整形外科(骨傷科)でCTを撮ったところ、「五十肩及び肩関節内に水が溜まっている」との診断でした。痛み止め等の処置を行うも改善の様子がなかったため、当院を訪れました。

最初の治療で、足に鍼を刺したところ、肩の高さまでしか挙がらなかった左腕が、ほぼ「バンザイ(可動域約165度)」の高さまで挙がるようになりました。また、同時に「痛みを取り除き、肝・腎を補う」漢方薬を処方しました。いわゆる「内服外治」です。その後、1週間1回・1カ月の治療で完治しました。

肩の問題を足のツボを使って治療したため、患者さん自身もビックリ。これこそ鍼の「遠治作用」を用いた治療法と言えるでしょう。

有効な症例⑤

Tさんは四十代後半の男性。前回のマラソン後より、右足踵痛が発症しました。しばらくの間、安静にしていましたが、症状は改善されませんでした。それどころか、痛みで歩行が難しくなり始め、ついには足踏みさえ困難な状態になってしまいました。しかし、年間最大目標の上海マラソンに出場したいがために、当院を訪れました。

1週間1回・1カ月の足底に対する鍼治療でジョギングが出来るまで改善しました。更に1カ月の足底を中心とした下半身に対する鍼治療で走れるまでに回復しました。その後も、足底の治療及びトレーニングの疲れを取るなどの調整のため治療を継続し、10月中旬には40キロ走も問題なく出来るようになりました。また、鍼灸治療とは別に、「内服外治」という漢方の考え方から「肝・腎を補い、血流を良くする」漢方薬を処方しました。

そして、本番の上海マラソンでは、完走はもちろんのこと、タイムも「サブスリー(3時間切り)」の達成を聞かされました。「サブスリー」を自分のことのように喜んだものです。

有効な症例⑥

Iさんは二十代後半の女性。2年前よりニキビが、顔面(額・頬)を中心に出現し始めました。ニキビ用洗顔料やニキビ用クリーム等、様々な方法を試すも、全く症状の改善がありませんでした。中国の病院の皮膚科へ行っても、症状は一進一退を繰り返すばかりのため、当院を受診し始めました。

最初の問診時、うつむいて小声で、言葉は少なく、彼女が顔を隠したい様子がこちらにも伝わってきました。額・頬は赤く、隆起していました。いわゆる「アバタ」状態です。足にもニキビがあるため、スカートは穿きたくないとのことでした。

週1回の、清熱薬を用いた6回の治療で、症状が改善されてきました。そして、2週間1回の養血薬を用いた治療に変更しました。その後、治療開始から約半年で、ほとんどのニキビが治癒しました。

今では、うつむいて話すことも、髪で顔を隠すこともなくなりました。また、「次の夏にはミニスカートを穿きたい!」と心も明るくなっていました。身体の治療は、心をも治療することができるのですね。

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